相続人でない第三者に遺産を渡したい。
遺贈(いぞう)とは?
遺贈(いぞう)とは、「相続人以外の人に遺産を渡すこと」を言います。相続人が受け取った場合は「相続」、そうでない場合は「遺贈」と考えることもできます。一般的に、配偶者や子が相続人である場合が多いのですが、「孫」や「甥・姪」に遺産を渡したい、という場合もあるでしょう。
そんなとき、遺言をのこしておけばスムーズに実現できるでしょう。
相続人がいない!!
非常に稀ですが、「法定相続人が一人もいない」という場合があります。この場合、どんなに財産を持っていようと相続人がいないので、残された財産はすべて国庫に行ってしまいます。これを回避し、他の親族や友人に受け取ってもらいたい場合は、もう遺言書を残すしかありません。
「財産をすべて、世話になった友人Aに遺贈する」といった内容の遺言で、実現することができます。
ただし、遺言書はあくまで、遺言者本人の意思を書き残すものです。Aさんに承諾を得ていなくても、この内容の遺言書は有効に作成できてしまいます。
Aさんからすれば、一方的に「これあげる!」と言われたようなものですので、受け取りたくなかったら拒否できてしまうのです。こんなことを防ぐために、財産を渡す相手にあらかじめ承諾を得ておくとよいでしょう。
遺贈を受けると、贈与税がかかるのか?
たしかに遺贈は「あげる」「もらう」の贈与に似た性格を持っています。しかし、財産所有者の死亡に起因する事柄ですので、贈与税ではなく相続税の対象となります。これは「みなし相続」と言われるもので、相続人でもないのに、相続税を支払う場面が出てきます。大きな財産の一部を遺贈によって受け取った場合は十分に注意が必要です。
とはいえ、国民の8割は相続税とは無縁と言われている昨今、よほど大きな財産を受け取らない限り、心配はしなくて良いと思います。