同性パートナーの相続
遺言書を書くべき?
現在では多くの地方自治体で「パートナーシップ宣誓証明」を受けることができます。大阪でも大阪市を含む8つの市がこの制度を導入していますので、証明書を受ければその自治体の中では法律婚と同じ配偶者としての「相続権」を発生させることができます。
様々な事情で、この制度の利用ができない場合も考えられますので、そのときは別の方法を検討することになります。
①遺言書
相互に相続させる旨を記載した公正証書遺言を作成することが、もっとも分かりやすい方法です。
しかし、お互いの両親が健在の場合は「遺留分」に注意してパートナーに遺贈する財産を決める必要があります。
兄弟姉妹がいる場合は特に遺言書が必須となりますので、専門家に相談することをオススメします。
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②養子縁組
パートナーと養子縁組する方法です。法律上「親子」という関係にはなるものの、「親が死んだら子へ」「子が死んだら親へ」相続されることに変わりはありません。
年下が「養親」となることはできませんので、年齢が上の方が「養親」となり、もう一方のパートナーを「養子」として役所に届け出れば完了です。
注意が必要なのは「養子」となった人には「養親」と「実親」がいるのですが、法律上ではどちらも「親」という扱いになることです。つまり「親」が2組いるということです。
「実親」がすでに亡くなっている場合は問題ありませんが、健在の場合は実親にも相続権が発生します。実親に「遺留分を請求しないでほしい」という内容の付言事項を付けるなどすれば、養子縁組も相続対策の一つとなり得るといえます。
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③生命保険
相続という分野とは少し趣旨がズレるのですが「残されたパートナーの生活を守る」という観点では生命保険の加入も有効でしょう。保険会社にもよりますが、死亡保険金の受取人は、配偶者や親族に限られておらず、血縁のないパートナーでも受取人に指定することが可能です。この方法の最大のメリットは「死亡保険金は分割対象にならない」ということでしょう。
つまり、死亡保険金は遺産として他の相続人と分ける必要はなく、全額が受取人の固有の財産とみなされます。遺産として他の相続人に渡ってしまうこともなければ、面倒な協議に巻き込まれる心配もありません。
常識的な範囲の保険金であれば、すんなりと全額を残すことができます。
ここでは深堀しませんが、死亡保険金にも「税金」はかかりますので申告を忘れないよう注意が必要です。